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東京地方裁判所 昭和46年(特わ)1635号 判決

本店所在地

東京都大田区西蒲田三丁目一五番三号

株式会社 若浜工務店

(右代表者代表取締役 若濱芳一)

本籍

北海道磯谷郡蘭越町港町六〇四番地

住居

東京都大田区西蒲田三丁目一五番三号

会社役員

若濱芳一

大正七年五月二三日生

右の者らに対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は検察官西岡幸彦出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告会社を罰金三〇〇万円に、被告人若濱芳一を懲役四月に処する。

但し、被告人若濱芳一に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

〔罪となるべき事実〕

被告会社株式会社若浜工務店は、東京都大田区西蒲田三丁目十五番三号に本店を置き、土木建築工事の請負を目的とする資本金二百万円の株式会社であり、被告人若濱芳一は、被告会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統轄していたものであるが、被告人若濱は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、簿外領金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、

第一、昭和四十三年一月一日より同年十二月三十一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二千七百八十七万八千二百四十七円あつたのにかかわらず、同四十四年二月二十八日東京都大田区蒲田本町二丁目三十番七号所在所轄蒲田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六百七十六万一千十八円でこれに対する法人税額が二百十五万六千三百円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額九百五十四万七千三百円と右申告税額との差額七百三十九万一千円を免れ、

第二、昭和四十四年一月一日より同年十二月三十一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が千六百二十一万六千四十八円あつたのにかかわらず、同四十五年二月二十七日前記所轄蒲田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七百二十一万八千六百九十一円で、これに対する法人税額が二百三十一万六千三百円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額五百四十六万五千六百円と右申告税額との差額三百十四万九千三百円を免れ

たものである。(なお、右各所得の内容は別紙一および二の各修正貸借対照表のとおりであり、各税額の計算は別紙三の税額計算書のとおりである。)

〔証拠の標目〕

事実全般につき

一、被告人若濱芳一の当公判廷における供述

一、大塚正雄および若濱チヨの検察官に対する各供述調書

一、被告人若濱芳一の検察官に対する供述調書

一、検察事務官柳沢忠幸作成の電話聴取書

一、登記官作成の登記簿謄本

一、押収してある総勘定元帳三綴(昭和四七年押四七七号の一の1ないし3)および法人税確定申告書綴三袋

(同号の二ないし四)

別紙一および二の勘定科目「現金」につき、

一、若濱チヨの検察官に対する供述調書

同「普通預金」につき、

一、大蔵事務官作成の「普通預金残高および収入利息調査書」

同「定期預金」につき、

一、大蔵事務官作成の「定期預金等調査書」

別紙二の勘定科目「売掛金」につき、

一、大塚正雄の大蔵事務官に対する昭和四六年四月九日付質問てん末書

別紙一および二の勘定科目「仕掛品」につき、

一、大蔵事務官各作成の「未成工事支出金調査書」および「未払金調査書」

同「貸付金」につき

一、大蔵事務官作成の「若浜芳一との貸借関係調査書」

一、長野春夫作成の昭和四六年六月二五日付証明書

一、被告人若濱芳一および大塚正雄共同作成の昭和四六年五月七日付上申書

一、若濱チヨの検察官に対する供述調書

別紙二の勘定科目「未収入金」につき、

一、被告人若濱芳一および大塚正雄共同作成の昭和四六年五月七日付上申書

別紙一および二の勘定科目「仮払金」につき、

一、被告人若濱芳一および大塚正雄共同作成の昭和四六年五月七日付上申書

一、大蔵事務官各作成の「仮払金等調査書」、「架空報酬調査書」および「若浜芳一との貸借関係調査書」

同「未払金」につき、

一、大蔵事務官作成の「未払金調査書」

同「預り金」につき、

一、大蔵事務官各作成の「仮払金等調査書」、「架空報酬調査書」および「預り金調査書」

同「仮受金」につき、

一、大蔵事務官作成の「(株)若浜工務店との取引について」と題する書面

同「役員賞与」につき、

一、大塚正雄の検察官に対する供述調書

一、大塚梅子の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、大蔵事務官作成の「架空報酬調査書」

同「交際費限度超過額」につき、

一、大蔵事務官作成の「交際費限度超過額調査書」、

別紙一の勘定科目「借入金」につき、

一、被告人若濱芳一および大塚正雄共同作成の昭和四六年五月七日付上申書

別紙二の勘定科目「仕掛工事格下」につき、

一、大蔵事務官作成の「未成工事支出金調査書」

別紙一および二の勘定科目「未納事業税」につき、

一、被告人若濱芳一および大塚正雄各共同作成の昭和四六年三月一一日付および同年七月一日付各上申書

同「社長仮払金」につき、

一、大蔵事務官各作成の「若浜芳一の個人収支調査書」、「個人支出金調査書」、「定期預金等調査書」(実名義)、「普通預金残高および収入利息調査書」(実名義)、「株式現在高調査書」および「株式配当金調査書」

〔法令の適用〕

被告会社につき、法人税法一五九条一項、一六四条一項、刑法四五条前段、四八条二項。

被告人若濱につき、法人税法一五九条一項(各懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(第一の罪の刑に加重)、二五条一項。

(裁判官 小田部米彦)

別紙一 修正貸借対照表

株式会社 若浜工務店

昭和43年12月31日

〈省略〉

別紙一 修正貸借対照表

株式会社 若浜工務店

昭和43年12月31日

〈省略〉

別紙二 修正貸借対照表

株式会社 若浜工務店

昭和44年12月31日

〈省略〉

別紙二 修正貸借対照表

株式会社 若浜工務店

昭和44年12月31日

〈省略〉

別紙三 税額計算書

株式会社 若浜工務店

〈省略〉

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